このニュースリリースは、報道機関向けに発信している情報です。
富士フイルム富山化学株式会社(本社:東京都中央区、代表取締役社長:佐藤 充宏、以下 富士フイルム富山化学)は、本日、自家滑膜間葉系幹細胞*1(開発コード:FF-31501、以下本品)について、「半月板切除術が適応となる半月板損傷」を適応症とした再生医療等製品として厚生労働省に製造販売承認申請を行いましたので、お知らせいたします。
本品は、患者自身の膝の内部から採取した滑膜組織を処理、培養増殖させて得られた自家滑膜間葉系幹細胞です。半月板損傷部を縫い合わせて整形した後に本品を損傷部に投与することで、損傷部の癒合と損傷に伴う症状の改善が期待されています。この治療法を開発した関矢一郎教授が所属する東京科学大学が実施した医師主導治験*2にて、患者での有効性および安全性が確認されました。その結果をうけて富士フイルム株式会社が2023年1月より開始した国内臨床第Ⅲ相試験(以下JP301試験)で主要評価項目を達成し、本品投与による症状の改善及び損傷部分の癒合が認められたことから、この度、富士フイルム富山化学が製造販売承認申請を行いました。
JP301試験は、半月板切除術が適応となる半月板損傷患者19名を対象とした、単群、多施設共同試験です。スクリーニングから投与後52週時点までのリスホルムスコア*3の変化量を主要評価項目とし、投与前後の半月板損傷部の癒合を客観的に評価するために、副次評価項目として関節鏡による半月板損傷部の癒合の評価などを実施しました。
半月板は、膝関節のクッションの役割を担う重要な組織です。半月板に過剰な力が加わると、半月板が断裂して(半月板損傷)、膝の曲げ伸ばし時の痛みやひっかかりなどが生じ、歩行困難に陥る場合もあります。重度の半月板損傷に対する治療法としては、症状の原因となっている半月板損傷部分を切除する手術(半月板切除術)が多く行われています*4。しかし、半月板切除術では、症状が改善する一方で、変形性膝関節症*5の進行リスクが高まる問題が指摘されており、新たな治療法の確立が期待されています。
富士フイルム富山化学は、今後も新たな治療法の提供を通じて、医療のさらなる発展に貢献していきます。
- *1 患者自身の滑膜組織から培養・増殖させた間葉系幹細胞。間葉系幹細胞は、生体内に存在し、骨、軟骨、脂肪などへの分化能を有します。
- *2 「自家滑膜幹細胞の半月板損傷を対象とする医師主導治験」(UMIN000026383)
本医師主導治験は、国立研究開発法人 日本医療研究開発機構(AMED)による支援を受けています。(再生医療実用化研究事業の研究開発課題「自家滑膜幹細胞の半月板損傷を対象とする医師主導治験」) - *3 膝の痛みや不安定性、ひっかかりなどの項目について、症状に従い段階的に点数化される評価法。半月板の機能・症状の評価に適しており、広く半月板治療の評価として採用されています。
- *4 半月板切除術の他に、半月板を切除せずに温存できる、損傷部を縫い合わせる手術(半月板縫合術)がありますが、適応できる部位や状態が限られています。
- *5 関節軟骨の摩耗を特徴とする疾患で、国内では潜在患者(X線診断による患者数)を含め約2,500万人の患者がいると推定されています。
プレスリリースは下記のリンクからご覧いただけます。
- * 記事の内容は発表時のものです。最新情報と異なる場合(生産・販売の終了、仕様・価格の変更、組織・連絡先変更等)がありますのでご了承ください。